公開講演会「ナチス絵画と近代ドイツ美術史——吉田秀和賞受賞記念講演」
INFORMATION
1937年から1944年まで、ナチスによって開催された「大ドイツ美術展」に出展されたナチス美術の作品は、プロパガンダ芸術の典型として片付けられ、その美術史上の意味は問われないままにされてきたが、近年ナチス美術作品のデータがデジタル?アーカイヴ化され、ナチス美術の美術史的再検討の機運が高まっている。講演では、1937年第1回「大ドイツ美術展」の絵画部門のメインの作品として注目されたアドフル?ツィーグラーの『四大元素』の読解を軸に、ナチス美術の全体像に迫る。
講師
本学名誉教授
前田 良三 氏
1955年生まれ。1982年東京大学大学院人文研究科修士課程(独語独文学専攻)修了。2010年ボン大学にて博士号取得。埼玉大学教養部、一橋大学法学部を経て1995年4月から2021年3月まで立教大学文学部文学科ドイツ文学専修教授。現在立教大学名誉教授。ドイツ文学の他、メディア論、学術史研究を専門領域とする。単著に『神話?メディア?凡庸性。日本におけるドイツ文学研究の学問文化編制について』(Mythen, Medien, Mediokrit?ten. Zur Formation der Wissenschaftskultur der Germanistik in Japan, München: Wilhelm Fink)(2010年10月)、『可視性をめぐる闘争。戦間期ドイツの美的文化批判とメディア』(三元社、2013年11月)、『ナチス絵画の謎 逆襲するアカデミズムと「大ドイツ美術展」』(みすず書房、2021年3月)、編著に『文字性と図像性:日欧の視覚文化』(Schriftlichkeit und Bildlichkeit. Visuelle Kulturen in Europa und Japan, München:Wilhelm Fink )(2007年2月)、『アナロジー:文学と文化における類似性思考』(Analogie – ?hnlichkeitsdenken in Literatur und Kultur. Neue Beitr?ge zur Germanistik. Bd. 17 / Heft 1,Doitsu Bungaku 157, München:Iudicium(2018年1月)、その他ドイツ語および日本語での論文多数。直近の著書『ナチス絵画の謎 逆襲するアカデミズムと「大ドイツ美術」』が水戸市芸術振興財団の第31回吉田秀和賞を受賞。